阿武隈の山懐、標高六〇〇メートル。
太古の地層が磨き上げた鮫川の清冽な湧水と、木々を渡る冷涼な風がここにはあります。
都市の雑音から遠く離れ、五感を研ぎ澄ます静けさの中で、自らの内側を澄ませていく時間を。
STORY
持てるすべてを手放して、
この一滴を選んだ。
スコットランドで技術を極めたウイスキー職人が、
全国を巡り辿り着いた「奇跡の水」。その水源の地に築いた蒸留所。
スコットランドの荒涼とした大地で、二十代のすべてをウイスキーの蒸留釜に捧げた。
香りを幾重にも重ねる西洋の美学を学び、帰国後は都市で数々の成功を手にした。
だが、作為に満ちた喧騒のなかで渇望したのは、何かを足す贅沢ではなく、
すべてを削ぎ落とした先にある「絶対的な純度」だった。
地位も名声も捨て、全国の水源を巡る果てに辿り着いたのが阿武隈・鮫川村。
かつて黄金色の鮫が棲んでいたという伝説を残す、清冽な深層伏流水。
口に含んだ瞬間、あまりの冷涼さと透明度の高さに息を呑んだ。
雑味が一切なく、喉を通ったあとに残る圧倒的な沈黙。
この水でしか、自らの内側を澄ませる酒は生まれないと確信した。
過剰を脱ぎ捨て、ただ一滴の真実を瓶に封じる。
ここは、思考を原点へと還すための聖域である。
SAMEROKU ファウンダー / マスターディスティラー
蓮見 健一郎